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金沢工業大学大学院
知的創造システム専攻
主任教授 池田 誠 氏

日本教育を変える業界の異端児 金沢工業大学の池田教授が語る」
「人生を成功するための資格講座」第二回

 
  今回のキーワード
  自分のポートフォリオを創れ
 
自分のポートフォリオを創れ
 

前回、知的創造社会では国家によって守られる「コーポレーション型のビジネスモデル」は崩壊に直面していると述べました。もはや、企業の「安定的な成長見通し」、「変化の予測可能」、「自部門/自社のみで顧客ニーズを満足できる」、「指示と統制」、「総合志向〜自前主義/抱え込むシステム」などはもはや期待できるものではなく、インターネットの常時接続によるグローバル化とダイナミックなネットワークの形成はビジネス競争環境をより激化させ、企業文化や企業統治を超えて顧客が主体となるビジネスモデルに変容していきます。

したがって、企業で働く個人はビジネスモデルの変化を感知しながら企業での自分のポジションを確保することを自覚しなければなりません。
すなわち、知識が急速に陳腐化する社会では企業Lifecycleは短く、企業の計画経済的人材育成は崩壊し、誰もが勝ち組になれるとは限らず、個人は常にリストラの危険とつきあうことにる社会では会社にキャリアデザインを委ねるのなく、自らが上昇志向のキャリアアップ、自己マネジメントを行い自己の「コアコンピタンス」を創出する必要があります

このために知的創造社会において個人は次の思考をベースに生きていくことが大切です。

「キャリア権」は自分が支配する
 

会社のキャリアプランに依存するのではなく、個人が自分の能力や意欲に合った仕事に就き、自らキャリアを構築して行く権利を「個人のキャリア権」といいますが、個人はこの権利を持つべきであり、キャリアデザインを自ら設計しなければなりません。
 日本人特有の社会意識である「大岡越前さまのお言いつけ通り」という思考は許されない社会状況であることを認識しなければなりません。
 
ただし、個人がキャリアを陳腐化しない為には、常に新しいことを勉強し続ける意欲が必要です。


ヒューマンスキルを磨く
多くの個人は自分の「ヒューマンスキル」の分析を行い、個性を客観的に把握していないのが現状です。しかしながら、自分が設計するキャリアに当たって、その成功要因として「ヒューマンスキル」が大きく影響を及ぼすことに注意しなければなりません。

「ヒューマンスキル」とはビジネスを遂行する上で必要とされる測定不可能な素養ですが、「今更自分は変わらない」とか「これが俺の個性だ、文句あるか」などの固定観念にしばられ自己向上をあきらめるのではなく、最近開発されている自己分析や自己改革ツールの使用、それに関するセミナーに積極的に参加することによって「問題発見力」、「独創力」、「ソリューション力」、「プレゼンテーション力」、「変革推進力」、「コミュニケーション力」、「自己価値創造力」、「リーダーシップ力」などを磨く必要があります。

強い専門領域を持つ
もはや会社ではゼネラリスト管理職の活用できる場は消失しており、社内出世をキャリア目標としたシステムは崩壊されているので、いつでも転職可能なように、社内の業務を選択する場合にも特定分野のプロフェショナルになる準備を兼ねて行うぐらいの心構えが必要であり、この業務が将来のキャリアに役立つかどうか常に考えて業務活動を行うべきでしょう。
この考えは会社に決して不利益をもたらすものではなく、雇用責任を完全に担う重荷から解放されて、同時に完全雇用が招くキャリア陳腐化を防ぎ、自覚した個人のプロフェショナル集団の力を企業競争優位性の源泉に転化できるので、大いに歓迎すべき考えでしょう。

 現在、夜間社会人大学院で学ぶ自覚した社会人の数が徐々に増える傾向にありますが、まだ会社に内緒で通う方が多いのが日本の現実です。
競争社会の米国では自分が大学院に行くと社内で宣言すると、周囲の同僚から励まされ、仕事も助けてくれ、尊敬もされる状況であり、米国の現状と比較すると日本の仕事環境・個のキャリア権の自律について考え方が随分遅れていますが、3,4年後は米国と同じ雰囲気になると考えられます。

ポートフォリオを作れ
「ポートフォリオ」という語源はラテン語が語源で紙バサミ、バインダー、ファイルという意味ですが、一般的な「ポートフォリオ」は?金融界では有価証券の内訳、一覧表、金融資産等、経営戦略界は複数の戦略を組み合わせておき全体としてのリスク分散をはかろうとする統合戦略を意味しています。
個性で勝負するプロフェッショナル(デザイナー、俳優、写真家等)業界の「ポートフォリオ」場合は、自分の独自性や個性を売りにするために自分の自信ある作品、写真、掲載された新聞記事のコピーや著作物などにより自分の才能やセンスを凝縮した作品ファイルをポートフォリオとして作成します。

 それでは、会社に勤める個人の場合はどうでしょうか?  多くの会社勤めの個人にポートフォリオの話をすると、自分のポートフォリオを意識したことがないと言います。  日本の企業人にとってポートフォリオとは会社の名刺と地位であり、それ以外何も考えたことがないのが現状でしょう。しかしながら、もし転職した場合、確かに会社の名刺は変わり、その名刺が自己を証明するポートフォリオになるのでしょうけれども、本当に人生を成功させるためにはもっと深く自分のポートフォリオを検討して組み立て、作成して自己ブランドをつくり社会に売り込む姿勢が必要です。

 私がコーチングとファシリテートしている金沢工業大学大学院知的創造システム専攻では下記の図に示す3次元のモデルから社会人にポートフォリオ教育を行っています。

 このモデルの重要な視点はプロフェショナルとしての専門「知識領域」は当然のことながら、「ヒューマンスキル」、「思考」から自分のコアコンピテンスの形成をどのように行い、その結果どのキャリアに適しており、どのような成功要因を潜在的に持っているかをブランディングしてためのベースとなるものです。


教育ポートフォリオの形成プロセス
 

実際大学院生が、各自で目標を立て、その目標を達成するためのアクションプランを計画・実行し、その学習プロセスと結果を主観・客観評価する形成プロセスを経て「ポートフォリオ」を作成しますが、これをまとめると下図のプロセスとなります。
このプロセスを見ると、まさに知的創造社会における個人に生き方そのものであり、ポートフォリオを意識することで、その後のキャリアデザインに取り組む意識が大きく目覚めることになります

図3 ポートフォリオ形成プロセス
   
1
M(モチベーションを抱く)・・自己主導のキャリアデザインをするために「学習したい」というモチベーションを抱き、自分の強さ・弱さ・可能性・向き・不向き等を客観的に認識する。
2
P(計画する)・・自分の目標となるコンピテンシーモデル(ヒューマンパワーを含む)を設計して、その目標を達成する為に自己カリキュラムを作成する。
3
D(カリキュラムの実行)・・「アクションラーニング」を通してモチベーションをさらに高めて目標のコンピテンシの創造をめざす。
4
C(評価)・・学習プロセスと結果を「自己評価・オープン評価・分析」
5
G(成長)
6
MP DC G」の繰り返してコアコンピタンスを確立する
このプロセスを形式知としてデータ化することによってペーパーテストでは計れない自己のコアコンピタンスの形成過程が目に見えるようにまとめる。
7
このプロセスを形式知としてデータ化することによってペーパーテストでは計れない自己のコアコンピタンスの形成過程が目に見えるようにまとめる。
8
「ポートフォリオ」を作成
   
  自己のコアコンピタンスを創造・確立

 

金沢工業大学大学院 知的創造システム専攻
 
この記事を寄稿してくださった池田 誠教授は、現在『金沢工業大学大学院知的創造システム専攻』にて
e-Businessプロフェッショナルコースの指導教員として活躍されています。

様々なバックグラウンドを持ち、それぞれの分野の第一線で活躍される方々が指導教員として、「生」の授業を展開しています。

是非、こちらのWebサイトもご覧ください。

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