人事の役割はどのように進化し続けているのか:人事担当グローバル・バイスプレジデントのジーン・カールソンに聞く

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ピアソンVUE で配信する試験は、成長の促進や、試験認定団体がその業界で期待に応えるための助けになるなど、世界中のコミュニティで直接的なプラスの効果を生み出しています。このシリーズでは、ピアソンVUE がこのような貢献を実現する方法について掘り下げるために、当社のビジネスに携わり、アセスメントの特定の分野で持続的な影響力を持つ人物にインタビューします。

今回は、人事部門のグローバル・バイスプレジデントであるジーン・カールソン (Gene Carlson) に話を聞きました。米国で勤務するジーンは、当社のビジネスを新型コロナウイルスのパンデミックに対応できるよう発展させ、支えてきたキーパーソンであり、高い水準での成長を目指す当社の戦略目標に沿う人材開発と従業員の定着に取り組んできました。

ピアソンVUE でのあなたの役割について、簡単に教えてください。

私は米国、英国、インドにまたがるメンバーで構成された、グローバルな HR チームを統率しています。HR チームと 人事戦略を指揮することと、ピアソンVUE の首脳陣の一人であることの 2 つの役割を担っています。そのため、HR に重点を置いた活動と、当社のビジネスの中心的な業務に重点を置いた活動の両方に携わっています。

人材開発の観点では、どのような点に重点を置いていますか?

リモートやハイブリッドワークです。これからどのような形になっていくのか?2022 年以降はどのように発展していくか?従業員たちはオフィス勤務に戻ることを希望しているのか?安全に戻れるのはいつか、それはどのような勤務形態か?こうしたことすべてが、現在、そして今後も重点的に取り組むことです。

2 点目は、従業員エンゲージメント、より具体的には従業員の定着です。これは人事の観点で当初から焦点を当てていたのですが、現在ではまったく異なる様相を呈しています。リモートワークで働く場合、プロフェッショナルたちには、はるかに多くの選択肢があります。もはや地理的に近い場所で仕事を見つける必要がなくなったからです。人事部門の責任者として、より意図的に従業員を引きつけ、定着させ、彼らにとって本当に重要なことを見いだすという点で、より活動的になる必要があります。これまで、ピアソンVUE ではこうした仕事はうまくいっていましたが、現在ではまったく違うやり方が必要になっています。たとえば、HR にとって退職者面談は常に重要なことでしたが、私はあまり好きではありませんでした。私は「ステイインタビュー」(定着率向上を図る面談)という言い方を好みます。これは誰かが作ったうまい造語です。面談には、フォーカスグループ、円卓会議、スキップレベル(従業員と、直属の上司の上司との間で行われる1対1の面談) など、さまざまな形式がありますが、いずれの形式でも、ステイインタビューでは従業員と現在の役割について話をする場となります。従業員が学びとキャリアアップの適切な機会を得ているか、キャリアに充実感を感じているかを確認できます。退職者面談に先手を打ち、願わくば、従業員が適切に仕事に取り組めるようになり、退職者面談がなくなるようにしたいです。

社内の関係者と定期的に話をすることで、それが形式張らない気軽なものであっても、正式な退職者面談よりもはるかに深い知見を得られます。ただし、そこから得た知見をどのように活かし、人々ニーズに適切に対応できるかが重要です。

—ジーン・カールソン — 人事部門 グローバル・バイスプレジデント

人事部門の責任者として、より意図的に従業員を引きつけ、定着させ、彼らにとって本当に重要なことを見いだすという点で、より活動的になる必要があります。

典型的な一日の過ごし方について、簡単に教えてください。

これは 3に分けられると言えます。

1 つ目は、直属の部下と話をしながら、HRチームと行うさまざまな業務です。HRチームでは、人材獲得、人材開発、従業員の定着、DE&Iなど、常に多様なイニシアチブに取り組んでいます。

2 つ目は、シニア・エグゼクティブ・チーム (上級幹部チーム) とのビジネス側の業務です。たとえば、当社の首脳陣が投資や新たなビジネスチャンスを追求するプロセスに携わっています。人事特有の観点から、他のリーダーシップチームのメンバーと同様に、人事の専門知識とビジネス全般の見識を提供することが目的です。

3 つ目は、より広範な HR とピアソンの優先事項です。このプロジェクトはピアソンVUE だけに焦点を当てているものではなく、ピアソングループのより幅広い環境が対象となります。そのため、タレントアクイジション (人材獲得)、L&D (研修と人材開発)、DE&I (多様性、公正性、包摂性)、リワード (給与と福利厚生)、HRオペレーション(人事業務) といったチームとの連携を行っています。

HR の役割は 2020 年に劇的に変化し、現在も進化を続けています。

今年のことを考えたとき、人事部門のリーダーにとって最も緊急性の高い優先事項は何でしょうか?

リモートワーク環境をできるだけ整えるためのサポートを継続するために、チームの構築、コラボレーション、人材開発、人材の定着の取り組みについて考え続けることです。こうしたことはすべて、従業員の大部分がオフィスにいて、社内を歩けば誰かと話せる状況に慣れていることを考えると、まったく違って見えてきます。

そしてもちろん、新型コロナウイルス感染症に対する管理は重要です。舞台裏では、特に当社のテストセンターで日々直面する特有の課題に関して、多くの業務が発生し続けています。それがどのようなものかは、多くの微細な違いがあります。当社のテストセンターでは複雑なプロセスを採用しているため、法律改訂がどれほど頻繁に行われてきたか (特に米国では)、少し考えてみるだけでも途方もないことなのです。ほぼ 2 年間、業員、試験認定団体、受験者のために、この部門の枠を超えたグループとさまざまなミーティングを毎週行い、この複雑な問題解決に取り組んできました。当社のテストセンターの従業員とリーダーは、こうした前例のない困難な時期に、集中力を保ち、管理するというとても素晴らしい仕事をしてきました。

—ジーン・カールソン — 人事部門 グローバル・バイスプレジデント

顧客中心主義で、クライアントのための問題解決に常に取り組み、より良い貢献ができるよう日々努力する、これこそが当社の従業員らしさだと思います。

ここ数年、ワークライフバランスの向上を進める企業の働き方改革が本格化しています。世界的なパンデミックが私たちのビジネスに及ぼす長期的な影響は何だと思いますか?

人々はこのパンデミックによって、従業員が物理的にオフィスに通う必要はないのだと悟りました。新型コロナ以前は、互いに直接顔を合わせなければ、業務で協力しあったり、問題を解決したり、戦略を練ることはできない、と考える人もいたかもしれません。しかし、そうではないことがこの2年間で証明されました。新規採用の観点では、リモートワークを前提として、高いスキルを持つ技術者を数多く採用できるように、職務要件と働き方を更新できました。この更新によって、当社の人材プールは、技術職の役割を超えて世界に開かれました。わずかに異なる部門や、地理的に異なる場所にいるプロフェッショナルたち、さらに多様なバックグラウンドを持つ人材も惹きつけられるようになりました。これは素晴らしいことです。

変化する顧客のニーズに応えるために、将来の人材パイプラインをどのように拡大していきますか?

当社の顧客は、このパンデミックのために、さまざまな期待と選択肢を持つようになりました。テストセンターで働く人を採用する方法は、オンライン監督のためにリモートで働くプロクター (試験監督員)やグリーター (受付) として働く人を採用する方法とは異なるかも知れません。優れたカスタマーサービスのスキルが必要なので、スキルセットが完全に異なるわけではありませんが、それでも、いくつかの点では異なります。顧客が違うことを期待しているので、当社のビジネスも違った対応をする必要があります。市場の競争がこれまでになく激化しているため、当社のクライアントの期待は変化しています。

グローバルなアセスメント業界で当社の従業員はどのような際立った資質を持っているのでしょうか?

当社の企業文化では、常に顧客を第一に考え、焦点を置いています。多くの企業は行動基準などでこのように述べていますが、必ずしも実行しているわけではありません。「なぜ、ここにいるのか」という問いに、当社の従業員の多くは「常に顧客第一だから」と答えるでしょう。顧客中心主義で、クライアントのための問題解決に常に取り組み、より良い貢献ができるよう日々努力する、これこそが当社の従業員らしさだと思います。

当社が提供しているクライアントの認定試験は、プロフェッショナルたちのキャリアアップに役立つものであれ、コミュニティーの健全性や安全性を保つものであれ、次世代に向けた進歩を促進するものであれ、いづれも長く続く現実的な影響をもたらします。そのことが、従業員たちが日々貢献するための刺激になっているのだと思います。