未来を受け入れる:「Generative AI Foundations」認定プログラムからの経験

  • ブログ記事
  • 人材&リーダーシップ

未来を受け入れる:「Generative AI Foundations」認定プログラムからの経験

AI 分野での生涯学習が、組織や経営者にとってなぜ不可欠なのか

ピアソンVUE マネージング・ディレクター ゲイリー・ゲイツ (博士)

人工知能(AI)は単なる技術革命ではなく、現代の産業、教育、そして社会の中枢になりつつあります。ピアソンVUE のマネージング・ディレクターとして、ビジネスのニーズだけでなく、個人がこれからどうあるべきかという点についても大きな変化を目の当たりにしています。今回は、ピアソンVUE の Certiport 事業が提供する「Critical Career Skills」プログラムの「Generative AI Foundations (生成AIの基礎)」認定プログラムを受験し、合格した個人的な経験を紹介することで、役割や背景を超えてスキルの向上がすべてのプロフェッショナルに不可欠だと考える理由をお話ししたいと思います。

AIの普遍的な重要性

かつて AI は研究分野や SF の世界の話でしたが、今日では医療から金融、物流から教育、小売からエンターテインメントまで、あらゆる分野の日常業務に不可欠な存在となっています。従来のプロセスは近代化され、業務は効率的に遂行され、そして顧客へのより大きな価値の提供が実現されているように、その影響力は普遍的です。

これは一時的な流れではありません。世界中の政府や企業が AI リテラシー(AI に関する知識や理解力)と能力の育成への投資の必要性を認識し始めています。中国では最近、小学校と中学校で AI 教育を必修にしました。6 歳の子ども向けのインタラクティブなゲームから始めて、年齢が上がるにつれて機械学習を教える内容に発展させる年間 8 時間の AI 授業を基本とする制度を導入しました。

UAE(アラブ首長国連邦)も同様に、AI を国家カリキュラムに統合する取り組みを発表しており、2025 年 8 月に正式に開始されています。これらは単発的な取り組みではなく、多くの国がAI教育を学校教育の根幹に組み込み、次世代のリーダー、政策立案者、起業家、そして労働者を対象に、AI を読み書きや算数と同じくらい基本的なものとして認識できるようにしています。

このような世界的な動きは、明確なメッセージを示しています。AI は、もはや一過性のものではなく、社会の中に定着しています。AI 革命よりも前に学校の教育過程を終えた人にとっては、この変化はさらに切実な課題になります。自ら学ぶ責任を負い、AI の高い理解力が当たり前となりつつある世界で、時代に取り残されないように競争力を維持しなければなりません。

生成 AI 時代における企業の役割

先見的な組織は、時代が追いつくのを待たずに自ら先頭に立って進んでいます。ピアソンVUE では、AI の認定資格を提供するだけでなく、社員自身が生成 AI の活用法のトレーニングを受けて認定資格を取得するように奨励しています。企業は、自社のチームが安全かつ効果的に生成 AI アプリを活用できるように、ツールを精査する動きを強めています。そして、こうしたツールを最も効果的に使いこなせる企業や人材が、競争の優位性を得ることを理解しています。「Pearson Skills Map US」(ピアソンの米国スキルマップ)レポートはこの点を的確にまとめており、「テクノロジーがあらゆる組織の中心的な存在になるにつれて、すべての仕事が何らか“テクノロジー職”になるだろう」、と述べています。

また、その責任は技術チームだけに留まりません。AI はもはや独立した専門分野ではなく、AI に関する判断を技術者だけに任せられる時代は終わりつつあります。AI 関するプロジェクトが企業全体のビジネス戦略に組み込まれていく中で、CEO、COO、マネージング・ディレクター、その他の社内外の利害関係者を含むすべてのリーダーが、AI に関する基礎的な知識を得ている必要があります。AI リテラシーの共通の水準がないと、1980 年代のビジネスリーダーと技術リーダーの間に生じた「テクノロジーの専門用語の壁」を想起させるような知識の格差が再び広がる懸念があります。このような溝は決して放置してはならない問題です。

だからこそ、私は長年の経験と計算物理学の博士号を持ちながらも、「Generative AI Foundations」の認定取得に挑むことにしました。この認定取得を通じて学習者がどのような知見を得るのか、自ら体験したいと考えました。そして、スキルアップは次世代だけでなく、すべての世代にとっての生涯にわたる学習であることを示したかったのです。

AI という存在そのもの、その急速な進化と前例のない可能性は、学習は決してとどまることはないということを意味します。

学習体験:挑戦的かつ実用的でインスピレーションのある体験

これまでの人生の多くの時間を技術分野と努力に費やしてきましたが、正直なところ、技術の変化の速さ、特に AI 分野の進歩の速度には、熟練した専門家であっても圧倒されることがあります。新しい認定資格に挑戦することは、キャリア過程の当たり前の一部として受け入れるべきものです。AI という存在そのもの、その急速な進化と前例のない可能性は、学習は決してとどまることはないということを意味します。

「Generative AI Foundations」認定プログラムは、幅広い人が受講しやすく、かつ興味深い内容になるように設計されています。学習内容には、AIの歴史、生成手法とモデルの発展、プロンプトエンジニアリングと改良の基本原則(生成AIシステムと効果的な対話を実現する中核プロセス)、偏見の認識およびプライバシーへの配慮などの AI の社会的な影響の概要を網羅的に取り上げています。さらに、さまざまな産業や日常生活を変革しているツールやアプリケーションの概要もカリキュラムに含まれています。テキストや画像の生成から実用的なビジネスの活用例まで、さまざまなタイプの生成 AI を取り上げることで、実践的で応用可能な貴重なインサイトを提供しています。

特に重要なのは、AI に関わる倫理面および法律面に大きな重点を置いている点です。AI が生成したコンテンツが、著作権、真実性、さらには合法性の境界を曖昧にしかねない時代において、こうした技術に伴う責任を理解することはきわめて重要です。特に心強く感じたのは、認定資格の内容が定期的に見直され、業界の変化の速さを反映して更新されている点です。このような取り組みにより、私のような生涯学習者は常に最新の知識の最先端に立ち続けられるのです。

認定資格の影響:個人と組織

ピアソンVUE の2025 年度 IT 認定資格に関する調査レポートでは、認定資格取得のメリット、とりわけ AI 分野でのスキルアップがもたらす恩恵について説得力のある証拠を示しています。その影響は数値で確認できるほど非常に大きなものです。

  • 認定資格を取得した従業員は、目に見える成果を上げています。79% の人が「業務の質が向上した」と回答し、76% の人が「イノベーションを起こしたり、成果を高める能力が向上した」と回答し、70% の人が「仕事の生産性が高まった」と回答
  • 生涯学習は今日のキャリアの新たな必須条件になっている。IT 認定資格の受験者のうち 84% が、今後 12か月以内に別の IT 資格を取得する可能性が高い、または非常に高いと回答し、さらに、所持する資格の数は年齢とキャリア年数に伴って大幅に増加
  • AI や機械学習の認定資格の取得を予定している受験者の数は、2022 年の 17% から 2024 年の 35% と、わずか 2 年間で 2 倍以上に増加
  • AI は、受験者が今後取得を目指す認定資格の専門分野として 2 番目に大きな分野に
  • 雇用主の 69% が、AI 分野への投資を開始または拡大しており、行動しないことのリスクとリーダーシップを発揮する機会の両方を認識

これらの統計結果には明確なメッセージがあります。継続的な学習と認定資格の取得は、「あれば良いもの」ではなく、AI の時代においては、キャリアの持続性と組織の競争力を維持するために必要不可欠な存在だということです。

若い世代は、学校教育の中に AI 教育が組み込まれることで恩恵を受けるでしょう。私と同じそれ以外の世代にとっては、主体的に行動する姿勢こそが鍵となります。

スキルを磨き、資格を取得して、一歩リードする

私の経験から伝えたいメッセージが 1 つあるとすれば、それは AI が世界を形づくるのを待たないで、あなた自身が AI を使って自分の世界を創造すべきだということです。

この変革的な技術をできる限り多く学ぶ機会をつかんでください。そして、認定資格を取得して、雇用主、同僚、顧客にあなたのスキルと自信を示しましょう。

若い世代は、学校教育の中に AI 教育が組み込まれることで恩恵を受けるでしょう。私と同じそれ以外の世代にとっては、主体的に行動する姿勢こそが鍵となります。AI が進化を続け、私たちの生活や組織のあらゆる側面に影響を与え続ける中で、私たちは常にスキルアップを続け、AI の最新の変化を把握しておく必要があります。

ビジネスリーダーとして、この責任を他人に任せるだけでは不十分です。自らが模範を示し、知識のギャップを埋め、好奇心、柔軟性、生涯学習が当然とされる環境を育むことが求められています。

共に未来を形作る

「Generative AI Foundations」認定プログラムに挑戦したことで得たものは多く、インスピレーションのある体験でした。未来に備えるだけでなく、未来を積極的に形づくっていくプロフェッショナルの輪に加われたことを誇りに思います。ピアソンVUE ではできるだけ多くの人がこの過程を歩めるように支援し続けています。なぜなら、未来は「学び続ける人」のものだからです。

この瞬間をともに捉え、AI が私たち自身、組織、そして世界にとって、力を与え、イノベーションを生み出し、前向きな変化をもたらすツールとなるよう努めていきましょう。