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この記事は 2023年7月19日にDaily Telegraph Australia (News Corp))に掲載されたものです。
元FBI捜査官がオーストラリアのビザに対する最大の脅威に挑む
著者:アデラ・ビーニ
9.11の捜査に加わったハリー・サミット氏は、現在オーストラリアで働くために不法入国を試みる人々の捜査を指揮しています。
ビザに必要な試験で不正をおこないオーストラリアに不正入国しようとする人を捜査する精鋭部隊を元FBI捜査官が監督しています。
米国のテロ対策の専門家であるハリー・サミット氏は、資格認定およびライセンスプログラムのコンピュータ・ベースド試験を専門とするピアソンVUE、そしてオーストラリアの内務省と協力して、違法な留学生の入国阻止に取り組んでいます。
ビザ申請者の多くは、申請に必要な書類として認定された英語試験の結果を提示する必要があります。これには、ビザ申請をサポートする教育機関と連携した留学生も含まれます。
Harry Samit, Joe Brutsche and Bryan Friess
at a Pearson Professional Center in Australia
しかし、新型コロナウィルス感染拡大中にオーストラリアの国境が閉鎖されたため、各機関ではオンラインの英語試験結果も認めざる得なくなりました。テストセンターでのビザのための試験配信は再開されましたが、大学への出願には今も自宅からの受験が認められています。
FBIに20年以上勤め、9.11の捜査にも加わったサミット氏は、パンデミック後は試験をオンラインで受験する怪しい受験者が急増し、タイミングを狙った手段に進化してきていると話します。
サミット氏によると、不正受験には、第三者または「なりすまし」が受験者の代わりに受験する替え玉受験、試験の内容を盗み出して転売する不正行為、受験者と試験監督員の共謀など、いくつかの手段があります。
「セキュリティーの脅威としての攻撃性が増すにつれて損害も拡大する可能性があるため、信頼を維持するには常にセキュリティー態勢を進化させ続ける必要がある」とサミット氏は言います。
「高価な試験問題の盗難や転売、そして替え玉受験は世界中で試験セキュリティーに対する2大脅威となっています」
内務省は2022年末までに、学生ビザプログラム、一時就労ビザプログラム、就労ビザの合わせて10万件以上のビザを発給しました。
サミット氏は法執行機関や諜報機関、サイバーセキュリティー、アナリストまで多岐に渡る経歴を持つおよそ30人から構成されるグローバルチームを率いています。
受験者の不正行為は、通報が寄せられたり、専用ソフトウェアで試験の違反行為が検出されるなど、さまざまな方法で察知されると彼は話します。
「不正行為が行われたという証拠が見つかったり、試験結果に何か異常があると判明した場合は、高度な捜査テクニックを駆使して事態を把握し、試験認定団体のために証拠を固めます」とサミット氏は説明します。
「何が起きたのか様々な側面から徹底的に試験を調査し、通常と異なる点を探します」
「ソーシャルメディアでのつながりも調べて、その人が何をしたのか、スコアにどのような影響があったのかをできる限り詳しく把握します」
サミット氏と彼のチームは、医療や金融サービス部門でのポジションや、政府機関の地位を保証している他の試験認定団体が実施する試験についてもセキュリティーを確認しています。
ピアソンVUEはオーストラリアのビザに必要な試験を国際的に管理している企業の1つであり、英語試験である Pearson Test of English (PTE) を世界中の何十万人もの人に配信しています。
内務省の報道官は次のように話しています。「政府は、移民受け入れのリスクを効率的に抑え、ビザ保有者がオーストラリアのコミュニティに問題なく参加できることを保証する1つの手段として、今後も移民法に英語の要件を含めるつもりです。英語の要件は、一般的にオーストラリアで学んだり就労することを希望するビザ申請者に適用されます。内務省では、移民法に定められたさまざまな英語レベルを満たす証拠の1つとして特定の英語試験のスコアを受け付けています。」